★叶う想い…叶わぬ想い★(第78回全日本選手権)
バンクーバーオリンピック開幕も1ヶ月ほどになり…フィギュアスケートに限らず各種競技の代表選考も大詰めですね。。。
4年間の想いというよりも、選んだスポーツに取り組んできた期間…
全ての想いの先にオリンピックがあるのでしょう。
昨年末に行われた全日本選手権もオリンピック代表選考を兼ね
男女シングルに限れば、3枠のうち残り2枠の代表に切符を賭けた戦いになりましたが
代表選考だけでなく、次世代選手や全日本選手権に出場する事を目標にしてきた選手にも特別な想いを寄せる競技会なんですね。
タラレバは通用しない世界ですが、全日本に出場出来るというのは、他の国では五輪代表選手に選ばれてもおかしくないレベルです。
今回の全日本選手権のレベルは昨年以上の高さ、層の厚さを実感する競技会でした。
そして、出場する全ての選手が、高いレベルでCoP(新採点システム)に対応して昨年以上の成長をみせる選手が数多く居たのも事実です。
ルールも少しずつ変化しており、実施したプログラムも内容も違いますが選手同士を比べて見るのではなく選手ひとりひとりの成長やCoP対応を見てください。
選手の平均獲得点数も上がっており下記エントリーに書いてあるような事を選手達が地道に自身に足りない部分を積み重ね、努力して対応してきた成果が現れているからだと思います。
★CoPに対応していく事…★
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-105.html
★プロトコルから学ぶ…★【スケーター&保護者向け】
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-112.html
何度も書いておりますが、フィギュアスケート競技は選手同士の戦いではなく
自分自身のパーソナルベストを目指す過程の中に戦いの構図があるという競技なのです。
第76回全日本フィギュアスケート選手権大会
http://www.skatingjapan.jp/National/2007-2008/fs/national/J/index.htm
第77回全日本フィギュアスケート選手権大会
http://www.skatingjapan.jp/National/2008-2009/fs/national/J/index.htm
第78回全日本フィギュアスケート選手権大会
http://www.skatingjapan.jp/National/2009-2010/fs/national/
プロトコルから見えてくるものを選手に対するバイアスをかけず客観的に分析してみるのも有用です。
13マクロ館+日光・自然&フィギュアスケート 大好き!!: 2009年12月
http://akuji.justblog.jp/blog/2009/12/index.html
**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**
競技をご覧になった方々それぞれに、応援する選手の違いや感想の違いもあるでしょうが
選手達にも、それぞれ自分自身の目標も違いますが、自身最高のものを発揮したい気持ちが強く出る大会です。
オリンピック代表選考だけではない、それぞれの目標があるはず。
大学4年生になった選手は、引退まで、残り2試合ほどとなり選手生活の集大成の滑走を共に歩んだ仲間、コーチ、家族に最高のものを見せたいという気持ちがあるでしょう。
ジュニアから推薦出場を勝ち取った若手選手達は、シニア大会で、自分の力がどこまで通用するのか?
ルールの違いや、滑走時間が延びた分の対応など、トップカテゴリーでの自分の位置を確認する大会になります。
ジュニアトップ選手達は、将来トップシニアの仲間入りを果たす可能性が非常に高いエリート達…
ベテランとなった選手をゴボウ抜きする事もあり、下克上の様相…
上位であろうと、下位であろうと、全日本選手権という国内最高峰の競技会はプライドの戦いです。
全国に2千~3千人ぐらいは居るであろう選手達の中から、男女シングルとも30名しかない狭き門なのですから。
そんな中から、最終グループ入りする事が出来る、一握りの選手だけしか見ていない人が多いのですよね。
どんなスポーツも1%未満のエリートアスリート達の中から更に上位に食い込まないとTV放送にも乗らないって事。。。
一般的にみなさんが応援している選手達はエリートアスリートの更に上のスーパーアスリートなんです。
メダリストになる事は、それこそ想像もつかないような努力で勝ち取るものなんです。
勝者が居れば敗者も居る…
小さな頃から、競技の魅力に取り付かれ、年月を重ねていくうち憧れの舞台が現実味を帯びてくる中
遊ぶ事の誘惑や様々な制限や故障などのリスクの中、夢の実現のために努力してきた選手達。
想いを抱いて上り詰めてきた全日本選手権…その先にある、世界選手権やオリンピック
それぞれの想いが交錯し、想いを果たす者が居る影で涙をのむ想いもある。
ほんのわずかの差で、光と影の明暗を分けたポイントはなんだったのか?
届いた者と届かなかった者の差は想いの強さだったのか?
勝者と敗者 代表選考された者とされなかった者…
やり直しもきかない、タラレバも通用しない、限られた年月のなかでの運命の巡り合わせ。
数十人の若者達と共に歩み支えた人々の想いが交錯した全日本でしたね。
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選手個人個人の事も少しだけふれておきます。。。(あくまで私見ですので)
男子シングル…
残念な事に毎年クリスマス時期の全日本選手権はTV観戦も難しかった。
今回は男子FSを見る事が出来ませんでした。
男子シングルでは、ほぼ順当と言ってもいいような形で、3選手が代表に選ばれましたが
3強と呼ばれる選手達も、うかうかとしていられないほどレベルアップをみせる選手が出てきます。
高橋大輔選手・織田信成選手・小塚崇彦選手に続く(脅かす)選手達…
そんな中で、南里康晴選手・無良崇人選手・中庭健介選手・町田樹選手・村上大介選手など
最終グループ入りする十分な実力を備えた選手にも、虎視眈々と牙城を崩そうと努力してきた。
3Aを降りてこないようでは、第3グループはおろか第2グループからこぼれてしまう。
一昨年の最終グループ入りした選手達は、牙城の一角を占めたいという想い…
そんな中、町田樹選手が4位に躍進し、羽生結弦選手・中村健人選手・田中刑事選手など
若手の台頭も目立ち、しかもレベルアップしているという、将来楽しみな結果になりました。
ベテランと呼ばれる社会人選手の九州勢の中庭健介選手・南里康晴選手…
両選手の世界選手権やオリンピックに賭ける想いは数年前からの戦いぶりを見ているし
今年が最後になるかもしれない?という複雑な気持ちと、想いを成就して欲しいという気持ちで見ていました。
同時期に戦っていた、神崎範之君が女子シングルのTSに入っているというのも、少し複雑な気持ちに…
大晦日に、少し全日本の事や技術論・指導論など意見交換できたのは収穫でした。
日本有数の元トップ選手が今度は優秀なテクニカルスペシャリストとして活躍しているのは嬉しいですね。
無良崇人選手や大上偉才選手は、気の毒な事に体調不良という事で残念な結果になってしまいました。
故障を抱えた選手や病気にかかってしまって、思うような成績を残せなかった選手は悔しい思いをしたのでしょう。
優勝した高橋大輔選手をはじめ、それぞれのメダリストも、代表に選ばれたとはいえ
それぞれに課題も見つけているでしょうし、オリンピックに向けた最終調整段階に入っている事でしょう。
3選手共に、4T成功への意欲を表面に出していますが、4回転無し構成での取り組みも考えておく必要もあると思います。
高橋選手は、全日本時点での4Tはまだ回転が完全に足りていないレベル(両足着氷)でしたし
普段の練習でもDGボーダーラインレベルあたりまで回転していないのならば4T無し構成でのGoE加点を全体で稼ぐ戦略も考えておくべき気もします。
現状での織田選手との差はエレメンツレベルでは織田選手に分があり、PCSでは高橋選手に分があります。
この差は、プログラムの力の差というか、コリオグラファーの力のような印象を受けています。
ステップは両者共にレベル3を獲得していますが、GoEに差が出ていますしジャッジの印象も私と近いためではないかと思っています。
両選手共に素晴らしいステップを踏んでいますが、自分のものにして、魅せる(踊る)というレベルにまで到達したかどうか?の差のような気がしますね。
与えられたものを滑る事に専念しているのか、与えられたものを自分のものにした上に表現にまで昇華させているかの差だと感じています。
専門的に見れば、ターンの深さやエッジ及びフリーレッグ捌きの巧みさがスケーティング力に僅かな差があるのでしょう。
メディアは高橋選手のステップワークが世界一との触れ込みで、事あるごとに触れていますが3選手共にSSの評価を含め、スケーティング力に関しては世界最高レベルですよ。
わずかに、高橋選手のスケーティングテクニック(いわゆる捌きとスケートのバランス力)の部分が飛び出て上手いという事です。
深く乗って滑っていくスケートが伸びるという点では小塚選手も織田選手も特筆ものです。
ただ、先ほど述べた踊る(魅せる)という部分に先輩選手との間に力の差(キャリアの差)が出てくるんですよね。
新しい血(コリオグラファーから得る表現の幅)の経験を重ねていけば伸びていく部分です。
男子3選手を見ていると 佐野稔・松村充・五十嵐文男の3選手がしのぎを削った時代を思い起こします。
女子シングル…
正直、女子選手の事を書くのは物凄く気を使いますね。。。
男子選手を応援するファンの方々も女子選手を応援するファンの方々も他のアイスダンスやペアを応援する方々も
みんな同じフィギュアスケートファンなんですが、どうも競技の見方が違うのかなぁ。
女子選手の事を書いた内容次第では過激な反応を見せる人が多すぎる気がしてね。
競技の性質や特性など、採点競技は、明確な結果が見える競技とは、少し性質が違うことを理解して欲しいものです。
個人的な私見を書きますので…
まず、最終グループ入りするようなトップ選手の中から誰が代表の座を勝ち取るのか?
って事がみなさんの最大の興味の対象だったのでしょうけど、個人的には次世代選手の中から
『表彰台の上二つ(金or銀)を獲得しちゃったらどうなるのか?』なんて事を考えておりました。
そんな中、結果としては、浅田真央選手・鈴木明子選手・中野友加里選手・安藤美姫選手の順になり
5位入賞には15歳の村上佳奈子選手が入りました。
愛知県からたくさんの上位入賞選手が入っていますね。。。(ホント強い)
浅田真央、安藤美姫、中野友加里、鈴木明子、村主章枝といったそうそうたるメンバーの最終グループに入り貴重な経験(本人にとっては生きてきた中で一番緊張した試合)をした事が最大の収穫だったことでしょう。
そして、その中でプレッシャーに押しつぶされず立派な成績を残した。
しかも鈴木選手のあとの最終滑走…チビってもおかしくないほどの重圧だったでしょう。
個人的にはオリンピック代表は無理でも世界選手権に送り出して、シニアでの世界選手権経験を積ませてあげたいと思いました。
若く、体重も軽いのですが、実施エレメンツはトップレベルの構成をこなす実力がありますから
もしもの話ですが、上位陣の自爆伝染病などが連鎖しちったりすると…なんて考えていました。(汗)
レベルを揃え、加点を取り、PCSの評価を上げる対応と経験をつめば、今後凄い評価になりそうです。
彼女以外にも若手の台頭がめざましく、ノービス・ジュニア層からのトップに食い込む力を持てそうなポテンシャルの高い選手が数多く居る事で、ますます女子のレベルは底上げされていくでしょう。
若い選手の場合は、必ず通る体型変化や体重増加の変化に技術力を落とさずにレベルを維持していく事が最重要課題なのですし、現実には、この時期に多くの選手が伸び続けられずに止まってしまうのです。
若い頃から大きく高いジャンプを跳べていなければ、大人の女性になるにつれて、回転が足りなくなったりしていくんですよね。
缶ジュース2・3本分位の体重の増減で成功率が変わるぐらいシビアなんです。
男子選手にも、見えない壁は存在しますが、女子選手の場合はフリップ・ルッツ以上を安定的に成功させない事には世界のトップレベルへの切符がもらえないんですよね。
人数も多く、ほんの僅かな差が全日本選手権の切符をも左右してしまうだけに女子選手は大変なんです。
スケーターの中でも16~18歳ぐらいがターニングポイントになる時期です。
数多くの、各カテゴリーで上位に入れない選手は現役生活から離れてしまうケースも多くファンの方々に知られぬまま選手生活から離れてしまうんですよね。
強化選手などに選ばれなければ、強化費用も得られませんから、年間数百万円にもなる現役生活を続けるための費用負担も大きな障害になるのです。
大学卒業まで現役生活を続けられた選手は、残した成績の事とは関係無く、そこまで続けられた事を感謝し涙の引退試合を残った多くの仲間に見送られて、現役生活から卒業するんです。
現役選手として全日本選手権や全日本インカレ・国体などの競技会は集大成を飾りたい大きな舞台なんですよね。
横道にそれそうになってますが、その現役選手としての集大成として臨んだであろう選手達の戦いは物凄く熱い戦いになり、エントリータイトルの通りになりました。
特に上位4名の選手は誰が代表に選ばれたとしても、オリンピックの舞台で入賞する力を十分に持つ選手達です。
そして、忘れてはならない村主章枝選手の存在もです。
安易な表現では言葉にできないほど、それぞれのオリンピックにかける想いが溢れる戦いの場だったのは間違いないでしょう。
村主章枝選手は、自分自身でもわかっていたはずですが、全盛期の頃と変わらぬエレメンツ構成に挑んできた。
それは、集大成を今出来る最高のものを揃える事よりも、勝ちに行くためには全盛期の頃と変わらぬ構成を選ばなければ勝てないからという事実を知っているからこその選択だったのでしょう。
それは、日本のトップを走り続けてきた自負でもあり、まだ自分は挑戦し続けるんだという決意をエレメンツ構成に表明したのでしょう。
類い稀な表現力も、最低限世界で戦うエレメンツ構成の上でなければ、いかせない。
ルール上、DGの可能性が高いエレメンツを半回転近く足りない状態でも回避しないで挑んだのは第一人者だった彼女のプライドを見た気がします。。。
だからこそ、ここまで現役生活を続けてこれたのかな…中庭選手と共に、感慨深い演技になりました。。。
中野選手と鈴木選手の滑走をスケートの神様がどちらの選手に微笑むのか? どころの騒ぎでは語りつくせないですね。
たった0.17点差。。。
それでも、その差が両者の想いを分けてしまった。。。
オリンピック、世界選手権へ賭ける想いなんて二人には差はないはず。
両者のエピソードもファンの方々は十分に知っている。
どんなに僅差であっても、勝者と敗者の差には、スポーツの残酷な一面を見てしまう。
逆の結果であったとしても、同じ事を書いたと思います。
勝敗を分けたポイントについては、みなさんそれぞれ、意見が並ぶのでしょうがジャンプの成否の差であったり、PCSの差であったり、様々でしょうが、プロトコルを見ていけば、結果として、今後の課題点などの見地からいけば鈴木選手には、改善すれば点数が伸びるエレメンツがいくつか見いだせます。
スパイラルがレベル1判定、ステップもレベル2判定…
ほとんど同等の力を要するふたりですが、オリンピックに送り出す選手は伸びしろに期待できる選手が選ばれたんだと、個人的にはそう思うようにして、納得させています。
中野選手に関しては、前回オリンピックの代表選考方法の事を考えるとタラレバになってしまいますが、今回の選考基準であれば、トリノオリンピックに出場していたのであろうと思うと気の毒というか切ない気持ちなんですけどね。
だからといって、他の選手が外れた方が良かったなどとは思っていないのですが日本人選手層の厚さと実力の拮抗がもたらせたスケートの神様のイタズラなんですかねぇ。。。
オリンピックに賭ける想いは、叶っても叶わなくても特別なもの。
一般論的にみれば、敗れ去った者として歴史の中に残るのかもしれませんが敗者の美学に共感してしまいます。
敗者の想いを背負って、想いが叶った者たちの戦いの場への力になって欲しいと思います。
安藤美姫選手…
彼女は織田選手と共にGPFでの内定をもらった事により、伸び伸びと滑れるしオリンピックを想定したチャレンジなど、様々な事を試す機会になると思っていましたが思っていた以上の、代表内定者という微妙な立ち位置が普段のスケートを見失ってしまった印象でした。
個人的私見ですが、いくつか不安要素はあるものの、最終グループの選手達の中では安定したエレメンツ実施力があり、最上位も獲得する可能性が高いと思っていました。
ジャンプは順調な仕上がりに見えていましたが、落とし穴は他にありました。
個人的にはプログラムの呪縛というか、振り付けの呪縛。。。
プログラムを演じきろうとする気持ちが強かったのか、滑る事よりも踊る事を優先した結果エッジワークが止まってしまう。。。
ターンが浅くなり、上体を動かす意識はあっても足もとが滑っていない。
足元の根本的な滑るという部分が足りないと評価は上がらないんですよね。
それと、安藤美姫選手だけの事ではありませんが、スリーターンチェンジやブラケットチェンジなどになってしまう
ロッカー&カウンターもどきの拙い技術はテクニカルには見抜かれてしまいます。
ステップはレベルを取る要件に十分な上体の変化はありますが、滑って、正確なターンなどをこなした上でないと意味が無い。
レベル4は非常に難しいのですが、世界トップレベルの選手にはレベル3以上を全て獲得していくというのが最低条件ともいえる訳ですからもったいないと感じました。
高橋選手と共に2度目のオリンピックという事で、4年前の悔しい気持ちを持ちつつも今度はオリンピック独特のプレッシャーを知る者としての強みもある訳ですから残り1ヶ月ほどの調整期間で修正してもらいたいものです。
もっと滑って踊る事を楽しむ余裕があれば、もっといい方向が見えるような気がします。
まずは、自分が楽しまなきゃね。。。
浅田真央選手…
Blogでは言及していませんが、全日本開催中では★FSG Chat Room★や某SNSで個人的感想を述べていました。
★FSG Chat Room★ 新設
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-106.html
メディア報道も一番多く放送されますので、開幕前から公式練習での様子なども報道されてましたね。
メディアでの論調では『浅田真央の復活は?』と、いうようなニュアンスが多く心配されていた方も多かった事でしょう。
報道の様子の中での練習時の3Aは、前回、前々回のGPシリーズ戦同様のケースも見受けられるジャンプもあり綺麗に跳べているジャンプもありで、本来の絶好調とは言い難い印象を持っており期待するような結果が得られない可能性もあると、書いていたのですが。。。
GPシリーズの3Aの不調は、コーチ経験者にはだいたいどこが悪いのかハッキリわかるレベルの不調原因でしたが2連戦の状態では、修正する時間が足りなかったのでしょう。
ただ、コーチが気がついて本人に指摘したとしても、本人が自覚し、修正していく気持ちで取り組まなければ、なかなか直らないものです。
たった一言のアドバイスで、ぱっ!っと1発で直る事もあれば、悪循環に陥る事もありジャンプというのは非常にデリケートなもので、選手の心理状況次第では永遠と長引いたり、ちょとした気付きだけで、簡単に元の状態に戻る事もあり、水物的性質があります。
具体的な技術の悪かった部分は競技を見た後に書いたり直接話した人は聞いていましたが先日の浅田選手本人のインタビュー報道でまったく同じ事を言及していました。
浅田選手の分析は、アプローチのカーブが一定にならなかった点、カーブが一定にならなければ、踏み切る方向が安定しない(タイミングも合いにくい)
回転させようとする心理が強く働くとカーブがきつくなり内側に食い込んでいくように踏み切ってしまう。
下記の失敗するケースのひとつとおなじ症状ですね。
ちょうど良いラインのカーブで進入しても、実際の踏み出し方向やフリーレッグの使い方など腕の使い方など、様々な失敗につながってしまう要因はいくつもありますがDG判定を意識しすぎてしまい、足りないほんの少しの部分を補おうとする気持ちが不思議な事に失敗の原因につながっていくんですよね。
細く早い回転軸を作る技術は男女を比べても世界一の技術ですが、いくら細く早い回転も軸が傾いてしまっては意味が無い。
オリンピックイヤーを意識しすぎて、精度(成功率)を上げていくべき時期に完成度を求めすぎたというか結果を求めにいった事が悪い事に調整へのあせりになったのでしょう。
Blog以外で書いていたものの一部分は以下のとおり…
> アクセルジャンプの見るポイントは、踏み切る瞬間の肩のラインが平行かどうか?って所と踏み切る方向ですね。。。だいたいそこで、成功か失敗かわかります。
> 失敗するケースで多いのは、肩のラインが内側に傾く→軸が内側に倒れる→タッチダウン
他には、左肩が早く回る→ふり回し気味になり、軸がブレて芯が出来ない→回転不足or転倒
> その他では…内側に傾いた軸が、外側に倒れていき、オーバーターンってパターンもありますね。
> パンクするのはタイミングの違いや、瞬間的に感じた違和感など、選手それぞれの理由があります。
> 踏み切る姿勢のツッコミ気味というのも、跳ばなくては!って意識が、胸を張れないで、前傾姿勢のままつっこむと失敗ジャンプにつながります。
前傾姿勢が入っていても肩のラインが平行であるとか、胸が起きている・フリーレッグの振り上げが引っ掛け気味に入っていないとか 腰が回っていないとか 肩のツッコミが無ければOKなのですが。
> 最後の着氷の瞬間に右手(右肩)が下がる選手は失敗する事が多い。。。
> 他のジャンプでも、だいたいは同様な見方が出来ると、跳ぶ瞬間には成功か失敗かはだいたい判ります。
最新の報道では全日本直前の練習では3Aだけではなくジャンプ全部が絶不調だったとカミングアウトしたようですね。
3Aについては結局本番ではSPでは回転不足判定ながら着氷は成功した形になり、順位も1位だった事からメディアでは復調の文字が躍りFSでは3A認定を受け、順位も最上位の優勝を勝ち取った訳ですからメディアは必要以上に大騒ぎしますね。
メディアでは『浅田真央完全復活!』の文字が躍り…オリンピック出場を祝う言葉だけが並ぶ。
真の姿を報道せずに見える結果だけを必要以上に煽る事が本当に選手のためにならない事はスケートに限らず、全てのスポーツ報道で悪い方向に転ぶ事の方が多いのに一向に直そうとはしませんね。(怒)
そっと見守っておけばメダリストの数はもっと多かった事でしょう。。。
素晴らしい記事を書くメディアもあるので全てとは言いませんが…
一番、フィギュアスケートファンに影響を与えるTV報道が一番不勉強なのは大問題だと思いますね。
代表に選ばれるほどの実力を持つ日本のトップ選手は代表獲得は通過点。
競技映像を客観的に自分の滑走を確認して分析しプロトコルも確認し次の競技会までに修正すべき課題を見つけることに目を向けています。
浅田選手の凄い所はファンへの配慮もありますが、決して弱気な面を見せないように普段は振舞っており
常に前を見据えたポジティブ思考で締めくくっていき、結局有言実行につながるような努力を人一倍強い気持ちで進もうとしていく点です。
浅田選手だけでなくトップアスリート選手には強き者になる為の共通点が多いのでしょう。
女子選手にとって3Aや3+3などの大技成功は大きなアドバンテージを得る事も可能ですが決して必殺技でもなんでもなく、全てのエレメンツを出来るだけ取りこぼしたりせず、GoEも加点を得るようにしていき、PCSも5コンポーネンツ全てを高い次元で揃えていく事の方が遥かに重要です。
そういった面では、浅田選手だけに限らず、プロトコルに残された今後の課題は、選手それぞれに違いがあり
浅田選手の場合は、コンビネーションのセカンドなどで回転不足を受けないように、しっかりとした腰の入った踏み切りを行う事などの課題が残されています。
全日本を4連覇したことにはほっとしているでしょうが、もう過ぎた事として、次の目標に切り替え前向きな挑戦を続ける浅田選手のポジティブ姿勢が続けば、オリンピックの気まぐれな女神の微笑を受ける事も十分に可能だと思います。
スケーターは練習で学び、競技会でも学び、自己研鑽を続けていく求道者なんです。
かつてミス・パーフェクトと呼ばれたミシェル・クワン選手や五輪や世界選手権のメダリスト選手など素晴らしい実績を残した選手達も水物のジャンプや他のエレメンツも高確率で成功させるための練習を追求し続け、強いプレッシャーの中でも成功させ続ける精神力があったからこそ高い技術を擁したのです。
代表選手選考に敗れてしまった選手達の想いを背負い、幼き頃より抱いていた夢の舞台への切符を勝ち取った選手達の活躍を敗れた選手への応援分も上乗せして応援していきましょう。。。
最強の男女オリンピック代表選手達と呼べるに相応しい布陣です。
夢に賭ける想いの中からDream's come trueが生まれると信じて。。。
最後まで、読んで頂きありがとうございました。
皆様のフィギュアスケートへの理解が広がれば幸いです。。。
★Figure Skating Guideline★ エントリー 一覧
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-109.html
4年間の想いというよりも、選んだスポーツに取り組んできた期間…
全ての想いの先にオリンピックがあるのでしょう。
昨年末に行われた全日本選手権もオリンピック代表選考を兼ね
男女シングルに限れば、3枠のうち残り2枠の代表に切符を賭けた戦いになりましたが
代表選考だけでなく、次世代選手や全日本選手権に出場する事を目標にしてきた選手にも特別な想いを寄せる競技会なんですね。
タラレバは通用しない世界ですが、全日本に出場出来るというのは、他の国では五輪代表選手に選ばれてもおかしくないレベルです。
今回の全日本選手権のレベルは昨年以上の高さ、層の厚さを実感する競技会でした。
そして、出場する全ての選手が、高いレベルでCoP(新採点システム)に対応して昨年以上の成長をみせる選手が数多く居たのも事実です。
ルールも少しずつ変化しており、実施したプログラムも内容も違いますが選手同士を比べて見るのではなく選手ひとりひとりの成長やCoP対応を見てください。
選手の平均獲得点数も上がっており下記エントリーに書いてあるような事を選手達が地道に自身に足りない部分を積み重ね、努力して対応してきた成果が現れているからだと思います。
★CoPに対応していく事…★
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-105.html
★プロトコルから学ぶ…★【スケーター&保護者向け】
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-112.html
何度も書いておりますが、フィギュアスケート競技は選手同士の戦いではなく
自分自身のパーソナルベストを目指す過程の中に戦いの構図があるという競技なのです。
第76回全日本フィギュアスケート選手権大会
http://www.skatingjapan.jp/National/2007-2008/fs/national/J/index.htm
第77回全日本フィギュアスケート選手権大会
http://www.skatingjapan.jp/National/2008-2009/fs/national/J/index.htm
第78回全日本フィギュアスケート選手権大会
http://www.skatingjapan.jp/National/2009-2010/fs/national/
プロトコルから見えてくるものを選手に対するバイアスをかけず客観的に分析してみるのも有用です。
13マクロ館+日光・自然&フィギュアスケート 大好き!!: 2009年12月
http://akuji.justblog.jp/blog/2009/12/index.html
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競技をご覧になった方々それぞれに、応援する選手の違いや感想の違いもあるでしょうが
選手達にも、それぞれ自分自身の目標も違いますが、自身最高のものを発揮したい気持ちが強く出る大会です。
オリンピック代表選考だけではない、それぞれの目標があるはず。
大学4年生になった選手は、引退まで、残り2試合ほどとなり選手生活の集大成の滑走を共に歩んだ仲間、コーチ、家族に最高のものを見せたいという気持ちがあるでしょう。
ジュニアから推薦出場を勝ち取った若手選手達は、シニア大会で、自分の力がどこまで通用するのか?
ルールの違いや、滑走時間が延びた分の対応など、トップカテゴリーでの自分の位置を確認する大会になります。
ジュニアトップ選手達は、将来トップシニアの仲間入りを果たす可能性が非常に高いエリート達…
ベテランとなった選手をゴボウ抜きする事もあり、下克上の様相…
上位であろうと、下位であろうと、全日本選手権という国内最高峰の競技会はプライドの戦いです。
全国に2千~3千人ぐらいは居るであろう選手達の中から、男女シングルとも30名しかない狭き門なのですから。
そんな中から、最終グループ入りする事が出来る、一握りの選手だけしか見ていない人が多いのですよね。
どんなスポーツも1%未満のエリートアスリート達の中から更に上位に食い込まないとTV放送にも乗らないって事。。。
一般的にみなさんが応援している選手達はエリートアスリートの更に上のスーパーアスリートなんです。
メダリストになる事は、それこそ想像もつかないような努力で勝ち取るものなんです。
勝者が居れば敗者も居る…
小さな頃から、競技の魅力に取り付かれ、年月を重ねていくうち憧れの舞台が現実味を帯びてくる中
遊ぶ事の誘惑や様々な制限や故障などのリスクの中、夢の実現のために努力してきた選手達。
想いを抱いて上り詰めてきた全日本選手権…その先にある、世界選手権やオリンピック
それぞれの想いが交錯し、想いを果たす者が居る影で涙をのむ想いもある。
ほんのわずかの差で、光と影の明暗を分けたポイントはなんだったのか?
届いた者と届かなかった者の差は想いの強さだったのか?
勝者と敗者 代表選考された者とされなかった者…
やり直しもきかない、タラレバも通用しない、限られた年月のなかでの運命の巡り合わせ。
数十人の若者達と共に歩み支えた人々の想いが交錯した全日本でしたね。
**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**:;;;;;:**☆**
選手個人個人の事も少しだけふれておきます。。。(あくまで私見ですので)
男子シングル…
残念な事に毎年クリスマス時期の全日本選手権はTV観戦も難しかった。
今回は男子FSを見る事が出来ませんでした。
男子シングルでは、ほぼ順当と言ってもいいような形で、3選手が代表に選ばれましたが
3強と呼ばれる選手達も、うかうかとしていられないほどレベルアップをみせる選手が出てきます。
高橋大輔選手・織田信成選手・小塚崇彦選手に続く(脅かす)選手達…
そんな中で、南里康晴選手・無良崇人選手・中庭健介選手・町田樹選手・村上大介選手など
最終グループ入りする十分な実力を備えた選手にも、虎視眈々と牙城を崩そうと努力してきた。
3Aを降りてこないようでは、第3グループはおろか第2グループからこぼれてしまう。
一昨年の最終グループ入りした選手達は、牙城の一角を占めたいという想い…
そんな中、町田樹選手が4位に躍進し、羽生結弦選手・中村健人選手・田中刑事選手など
若手の台頭も目立ち、しかもレベルアップしているという、将来楽しみな結果になりました。
ベテランと呼ばれる社会人選手の九州勢の中庭健介選手・南里康晴選手…
両選手の世界選手権やオリンピックに賭ける想いは数年前からの戦いぶりを見ているし
今年が最後になるかもしれない?という複雑な気持ちと、想いを成就して欲しいという気持ちで見ていました。
同時期に戦っていた、神崎範之君が女子シングルのTSに入っているというのも、少し複雑な気持ちに…
大晦日に、少し全日本の事や技術論・指導論など意見交換できたのは収穫でした。
日本有数の元トップ選手が今度は優秀なテクニカルスペシャリストとして活躍しているのは嬉しいですね。
無良崇人選手や大上偉才選手は、気の毒な事に体調不良という事で残念な結果になってしまいました。
故障を抱えた選手や病気にかかってしまって、思うような成績を残せなかった選手は悔しい思いをしたのでしょう。
優勝した高橋大輔選手をはじめ、それぞれのメダリストも、代表に選ばれたとはいえ
それぞれに課題も見つけているでしょうし、オリンピックに向けた最終調整段階に入っている事でしょう。
3選手共に、4T成功への意欲を表面に出していますが、4回転無し構成での取り組みも考えておく必要もあると思います。
高橋選手は、全日本時点での4Tはまだ回転が完全に足りていないレベル(両足着氷)でしたし
普段の練習でもDGボーダーラインレベルあたりまで回転していないのならば4T無し構成でのGoE加点を全体で稼ぐ戦略も考えておくべき気もします。
現状での織田選手との差はエレメンツレベルでは織田選手に分があり、PCSでは高橋選手に分があります。
この差は、プログラムの力の差というか、コリオグラファーの力のような印象を受けています。
ステップは両者共にレベル3を獲得していますが、GoEに差が出ていますしジャッジの印象も私と近いためではないかと思っています。
両選手共に素晴らしいステップを踏んでいますが、自分のものにして、魅せる(踊る)というレベルにまで到達したかどうか?の差のような気がしますね。
与えられたものを滑る事に専念しているのか、与えられたものを自分のものにした上に表現にまで昇華させているかの差だと感じています。
専門的に見れば、ターンの深さやエッジ及びフリーレッグ捌きの巧みさがスケーティング力に僅かな差があるのでしょう。
メディアは高橋選手のステップワークが世界一との触れ込みで、事あるごとに触れていますが3選手共にSSの評価を含め、スケーティング力に関しては世界最高レベルですよ。
わずかに、高橋選手のスケーティングテクニック(いわゆる捌きとスケートのバランス力)の部分が飛び出て上手いという事です。
深く乗って滑っていくスケートが伸びるという点では小塚選手も織田選手も特筆ものです。
ただ、先ほど述べた踊る(魅せる)という部分に先輩選手との間に力の差(キャリアの差)が出てくるんですよね。
新しい血(コリオグラファーから得る表現の幅)の経験を重ねていけば伸びていく部分です。
男子3選手を見ていると 佐野稔・松村充・五十嵐文男の3選手がしのぎを削った時代を思い起こします。
女子シングル…
正直、女子選手の事を書くのは物凄く気を使いますね。。。
男子選手を応援するファンの方々も女子選手を応援するファンの方々も他のアイスダンスやペアを応援する方々も
みんな同じフィギュアスケートファンなんですが、どうも競技の見方が違うのかなぁ。
女子選手の事を書いた内容次第では過激な反応を見せる人が多すぎる気がしてね。
競技の性質や特性など、採点競技は、明確な結果が見える競技とは、少し性質が違うことを理解して欲しいものです。
個人的な私見を書きますので…
まず、最終グループ入りするようなトップ選手の中から誰が代表の座を勝ち取るのか?
って事がみなさんの最大の興味の対象だったのでしょうけど、個人的には次世代選手の中から
『表彰台の上二つ(金or銀)を獲得しちゃったらどうなるのか?』なんて事を考えておりました。
そんな中、結果としては、浅田真央選手・鈴木明子選手・中野友加里選手・安藤美姫選手の順になり
5位入賞には15歳の村上佳奈子選手が入りました。
愛知県からたくさんの上位入賞選手が入っていますね。。。(ホント強い)
浅田真央、安藤美姫、中野友加里、鈴木明子、村主章枝といったそうそうたるメンバーの最終グループに入り貴重な経験(本人にとっては生きてきた中で一番緊張した試合)をした事が最大の収穫だったことでしょう。
そして、その中でプレッシャーに押しつぶされず立派な成績を残した。
しかも鈴木選手のあとの最終滑走…チビってもおかしくないほどの重圧だったでしょう。
個人的にはオリンピック代表は無理でも世界選手権に送り出して、シニアでの世界選手権経験を積ませてあげたいと思いました。
若く、体重も軽いのですが、実施エレメンツはトップレベルの構成をこなす実力がありますから
もしもの話ですが、上位陣の自爆伝染病などが連鎖しちったりすると…なんて考えていました。(汗)
レベルを揃え、加点を取り、PCSの評価を上げる対応と経験をつめば、今後凄い評価になりそうです。
彼女以外にも若手の台頭がめざましく、ノービス・ジュニア層からのトップに食い込む力を持てそうなポテンシャルの高い選手が数多く居る事で、ますます女子のレベルは底上げされていくでしょう。
若い選手の場合は、必ず通る体型変化や体重増加の変化に技術力を落とさずにレベルを維持していく事が最重要課題なのですし、現実には、この時期に多くの選手が伸び続けられずに止まってしまうのです。
若い頃から大きく高いジャンプを跳べていなければ、大人の女性になるにつれて、回転が足りなくなったりしていくんですよね。
缶ジュース2・3本分位の体重の増減で成功率が変わるぐらいシビアなんです。
男子選手にも、見えない壁は存在しますが、女子選手の場合はフリップ・ルッツ以上を安定的に成功させない事には世界のトップレベルへの切符がもらえないんですよね。
人数も多く、ほんの僅かな差が全日本選手権の切符をも左右してしまうだけに女子選手は大変なんです。
スケーターの中でも16~18歳ぐらいがターニングポイントになる時期です。
数多くの、各カテゴリーで上位に入れない選手は現役生活から離れてしまうケースも多くファンの方々に知られぬまま選手生活から離れてしまうんですよね。
強化選手などに選ばれなければ、強化費用も得られませんから、年間数百万円にもなる現役生活を続けるための費用負担も大きな障害になるのです。
大学卒業まで現役生活を続けられた選手は、残した成績の事とは関係無く、そこまで続けられた事を感謝し涙の引退試合を残った多くの仲間に見送られて、現役生活から卒業するんです。
現役選手として全日本選手権や全日本インカレ・国体などの競技会は集大成を飾りたい大きな舞台なんですよね。
横道にそれそうになってますが、その現役選手としての集大成として臨んだであろう選手達の戦いは物凄く熱い戦いになり、エントリータイトルの通りになりました。
特に上位4名の選手は誰が代表に選ばれたとしても、オリンピックの舞台で入賞する力を十分に持つ選手達です。
そして、忘れてはならない村主章枝選手の存在もです。
安易な表現では言葉にできないほど、それぞれのオリンピックにかける想いが溢れる戦いの場だったのは間違いないでしょう。
村主章枝選手は、自分自身でもわかっていたはずですが、全盛期の頃と変わらぬエレメンツ構成に挑んできた。
それは、集大成を今出来る最高のものを揃える事よりも、勝ちに行くためには全盛期の頃と変わらぬ構成を選ばなければ勝てないからという事実を知っているからこその選択だったのでしょう。
それは、日本のトップを走り続けてきた自負でもあり、まだ自分は挑戦し続けるんだという決意をエレメンツ構成に表明したのでしょう。
類い稀な表現力も、最低限世界で戦うエレメンツ構成の上でなければ、いかせない。
ルール上、DGの可能性が高いエレメンツを半回転近く足りない状態でも回避しないで挑んだのは第一人者だった彼女のプライドを見た気がします。。。
だからこそ、ここまで現役生活を続けてこれたのかな…中庭選手と共に、感慨深い演技になりました。。。
中野選手と鈴木選手の滑走をスケートの神様がどちらの選手に微笑むのか? どころの騒ぎでは語りつくせないですね。
たった0.17点差。。。
それでも、その差が両者の想いを分けてしまった。。。
オリンピック、世界選手権へ賭ける想いなんて二人には差はないはず。
両者のエピソードもファンの方々は十分に知っている。
どんなに僅差であっても、勝者と敗者の差には、スポーツの残酷な一面を見てしまう。
逆の結果であったとしても、同じ事を書いたと思います。
勝敗を分けたポイントについては、みなさんそれぞれ、意見が並ぶのでしょうがジャンプの成否の差であったり、PCSの差であったり、様々でしょうが、プロトコルを見ていけば、結果として、今後の課題点などの見地からいけば鈴木選手には、改善すれば点数が伸びるエレメンツがいくつか見いだせます。
スパイラルがレベル1判定、ステップもレベル2判定…
ほとんど同等の力を要するふたりですが、オリンピックに送り出す選手は伸びしろに期待できる選手が選ばれたんだと、個人的にはそう思うようにして、納得させています。
中野選手に関しては、前回オリンピックの代表選考方法の事を考えるとタラレバになってしまいますが、今回の選考基準であれば、トリノオリンピックに出場していたのであろうと思うと気の毒というか切ない気持ちなんですけどね。
だからといって、他の選手が外れた方が良かったなどとは思っていないのですが日本人選手層の厚さと実力の拮抗がもたらせたスケートの神様のイタズラなんですかねぇ。。。
オリンピックに賭ける想いは、叶っても叶わなくても特別なもの。
一般論的にみれば、敗れ去った者として歴史の中に残るのかもしれませんが敗者の美学に共感してしまいます。
敗者の想いを背負って、想いが叶った者たちの戦いの場への力になって欲しいと思います。
安藤美姫選手…
彼女は織田選手と共にGPFでの内定をもらった事により、伸び伸びと滑れるしオリンピックを想定したチャレンジなど、様々な事を試す機会になると思っていましたが思っていた以上の、代表内定者という微妙な立ち位置が普段のスケートを見失ってしまった印象でした。
個人的私見ですが、いくつか不安要素はあるものの、最終グループの選手達の中では安定したエレメンツ実施力があり、最上位も獲得する可能性が高いと思っていました。
ジャンプは順調な仕上がりに見えていましたが、落とし穴は他にありました。
個人的にはプログラムの呪縛というか、振り付けの呪縛。。。
プログラムを演じきろうとする気持ちが強かったのか、滑る事よりも踊る事を優先した結果エッジワークが止まってしまう。。。
ターンが浅くなり、上体を動かす意識はあっても足もとが滑っていない。
足元の根本的な滑るという部分が足りないと評価は上がらないんですよね。
それと、安藤美姫選手だけの事ではありませんが、スリーターンチェンジやブラケットチェンジなどになってしまう
ロッカー&カウンターもどきの拙い技術はテクニカルには見抜かれてしまいます。
ステップはレベルを取る要件に十分な上体の変化はありますが、滑って、正確なターンなどをこなした上でないと意味が無い。
レベル4は非常に難しいのですが、世界トップレベルの選手にはレベル3以上を全て獲得していくというのが最低条件ともいえる訳ですからもったいないと感じました。
高橋選手と共に2度目のオリンピックという事で、4年前の悔しい気持ちを持ちつつも今度はオリンピック独特のプレッシャーを知る者としての強みもある訳ですから残り1ヶ月ほどの調整期間で修正してもらいたいものです。
もっと滑って踊る事を楽しむ余裕があれば、もっといい方向が見えるような気がします。
まずは、自分が楽しまなきゃね。。。
浅田真央選手…
Blogでは言及していませんが、全日本開催中では★FSG Chat Room★や某SNSで個人的感想を述べていました。
★FSG Chat Room★ 新設
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-106.html
メディア報道も一番多く放送されますので、開幕前から公式練習での様子なども報道されてましたね。
メディアでの論調では『浅田真央の復活は?』と、いうようなニュアンスが多く心配されていた方も多かった事でしょう。
報道の様子の中での練習時の3Aは、前回、前々回のGPシリーズ戦同様のケースも見受けられるジャンプもあり綺麗に跳べているジャンプもありで、本来の絶好調とは言い難い印象を持っており期待するような結果が得られない可能性もあると、書いていたのですが。。。
GPシリーズの3Aの不調は、コーチ経験者にはだいたいどこが悪いのかハッキリわかるレベルの不調原因でしたが2連戦の状態では、修正する時間が足りなかったのでしょう。
ただ、コーチが気がついて本人に指摘したとしても、本人が自覚し、修正していく気持ちで取り組まなければ、なかなか直らないものです。
たった一言のアドバイスで、ぱっ!っと1発で直る事もあれば、悪循環に陥る事もありジャンプというのは非常にデリケートなもので、選手の心理状況次第では永遠と長引いたり、ちょとした気付きだけで、簡単に元の状態に戻る事もあり、水物的性質があります。
具体的な技術の悪かった部分は競技を見た後に書いたり直接話した人は聞いていましたが先日の浅田選手本人のインタビュー報道でまったく同じ事を言及していました。
浅田選手の分析は、アプローチのカーブが一定にならなかった点、カーブが一定にならなければ、踏み切る方向が安定しない(タイミングも合いにくい)
回転させようとする心理が強く働くとカーブがきつくなり内側に食い込んでいくように踏み切ってしまう。
下記の失敗するケースのひとつとおなじ症状ですね。
ちょうど良いラインのカーブで進入しても、実際の踏み出し方向やフリーレッグの使い方など腕の使い方など、様々な失敗につながってしまう要因はいくつもありますがDG判定を意識しすぎてしまい、足りないほんの少しの部分を補おうとする気持ちが不思議な事に失敗の原因につながっていくんですよね。
細く早い回転軸を作る技術は男女を比べても世界一の技術ですが、いくら細く早い回転も軸が傾いてしまっては意味が無い。
オリンピックイヤーを意識しすぎて、精度(成功率)を上げていくべき時期に完成度を求めすぎたというか結果を求めにいった事が悪い事に調整へのあせりになったのでしょう。
Blog以外で書いていたものの一部分は以下のとおり…
> アクセルジャンプの見るポイントは、踏み切る瞬間の肩のラインが平行かどうか?って所と踏み切る方向ですね。。。だいたいそこで、成功か失敗かわかります。
> 失敗するケースで多いのは、肩のラインが内側に傾く→軸が内側に倒れる→タッチダウン
他には、左肩が早く回る→ふり回し気味になり、軸がブレて芯が出来ない→回転不足or転倒
> その他では…内側に傾いた軸が、外側に倒れていき、オーバーターンってパターンもありますね。
> パンクするのはタイミングの違いや、瞬間的に感じた違和感など、選手それぞれの理由があります。
> 踏み切る姿勢のツッコミ気味というのも、跳ばなくては!って意識が、胸を張れないで、前傾姿勢のままつっこむと失敗ジャンプにつながります。
前傾姿勢が入っていても肩のラインが平行であるとか、胸が起きている・フリーレッグの振り上げが引っ掛け気味に入っていないとか 腰が回っていないとか 肩のツッコミが無ければOKなのですが。
> 最後の着氷の瞬間に右手(右肩)が下がる選手は失敗する事が多い。。。
> 他のジャンプでも、だいたいは同様な見方が出来ると、跳ぶ瞬間には成功か失敗かはだいたい判ります。
最新の報道では全日本直前の練習では3Aだけではなくジャンプ全部が絶不調だったとカミングアウトしたようですね。
3Aについては結局本番ではSPでは回転不足判定ながら着氷は成功した形になり、順位も1位だった事からメディアでは復調の文字が躍りFSでは3A認定を受け、順位も最上位の優勝を勝ち取った訳ですからメディアは必要以上に大騒ぎしますね。
メディアでは『浅田真央完全復活!』の文字が躍り…オリンピック出場を祝う言葉だけが並ぶ。
真の姿を報道せずに見える結果だけを必要以上に煽る事が本当に選手のためにならない事はスケートに限らず、全てのスポーツ報道で悪い方向に転ぶ事の方が多いのに一向に直そうとはしませんね。(怒)
そっと見守っておけばメダリストの数はもっと多かった事でしょう。。。
素晴らしい記事を書くメディアもあるので全てとは言いませんが…
一番、フィギュアスケートファンに影響を与えるTV報道が一番不勉強なのは大問題だと思いますね。
代表に選ばれるほどの実力を持つ日本のトップ選手は代表獲得は通過点。
競技映像を客観的に自分の滑走を確認して分析しプロトコルも確認し次の競技会までに修正すべき課題を見つけることに目を向けています。
浅田選手の凄い所はファンへの配慮もありますが、決して弱気な面を見せないように普段は振舞っており
常に前を見据えたポジティブ思考で締めくくっていき、結局有言実行につながるような努力を人一倍強い気持ちで進もうとしていく点です。
浅田選手だけでなくトップアスリート選手には強き者になる為の共通点が多いのでしょう。
女子選手にとって3Aや3+3などの大技成功は大きなアドバンテージを得る事も可能ですが決して必殺技でもなんでもなく、全てのエレメンツを出来るだけ取りこぼしたりせず、GoEも加点を得るようにしていき、PCSも5コンポーネンツ全てを高い次元で揃えていく事の方が遥かに重要です。
そういった面では、浅田選手だけに限らず、プロトコルに残された今後の課題は、選手それぞれに違いがあり
浅田選手の場合は、コンビネーションのセカンドなどで回転不足を受けないように、しっかりとした腰の入った踏み切りを行う事などの課題が残されています。
全日本を4連覇したことにはほっとしているでしょうが、もう過ぎた事として、次の目標に切り替え前向きな挑戦を続ける浅田選手のポジティブ姿勢が続けば、オリンピックの気まぐれな女神の微笑を受ける事も十分に可能だと思います。
スケーターは練習で学び、競技会でも学び、自己研鑽を続けていく求道者なんです。
かつてミス・パーフェクトと呼ばれたミシェル・クワン選手や五輪や世界選手権のメダリスト選手など素晴らしい実績を残した選手達も水物のジャンプや他のエレメンツも高確率で成功させるための練習を追求し続け、強いプレッシャーの中でも成功させ続ける精神力があったからこそ高い技術を擁したのです。
代表選手選考に敗れてしまった選手達の想いを背負い、幼き頃より抱いていた夢の舞台への切符を勝ち取った選手達の活躍を敗れた選手への応援分も上乗せして応援していきましょう。。。
最強の男女オリンピック代表選手達と呼べるに相応しい布陣です。
夢に賭ける想いの中からDream's come trueが生まれると信じて。。。
最後まで、読んで頂きありがとうございました。
皆様のフィギュアスケートへの理解が広がれば幸いです。。。
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