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★スケーターズ・フェイバー?★

【スケーターズ・フェイバー】聞きなれない言葉だと思います。

当初Blogではエントリーにしないつもりでいたのですが…(様々な理由により)
興味深い推移がありましたし、Blogの性質上避けて通れない気がしますので公開します。

ISU テクニカル・パネル ハンドブック(英語版)
http://www.isu.org/vsite/vfile/page/fileurl/0,11040,4844-197593-214816-125742-0-file,00.pdf

項目 The ¾ mark landing
In all doubtful cases the Technical Panel should act to the benefit of the skater.

すべての疑わしい例では、テクニカルパネルは、スケーターの利益のために行動する必要があります。

ISU テクニカル・パネル ハンドブック(日本語版)
http://www.skatingjapan.jp/data/fs/pdfs/comm/hb2009-single2009j.pdf

項目 着氷時の3/4 回転の基準

すべてのはっきりとしない場合には、テクニカル・パネルはスケーターの利益になるように務めるべきである。

スケーターの利益のため(判定で選手が不利益を被らないように務めるという意味合い)という事が
今回のエントリー内容でのWrong edge判定のケースに適用されるかどうかは現役テクニカルの方々に聞いてみない事にはわかりませんが、私の知る限り旧採点時代でも、明らかでないケースの判定は選手が不利益を被らないようにすべき…と、いうような認識がある事から、回転不足の項目だけに当てはまるという事はないと思っております。

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※ このエントリーは’10年2月初旬に書いていたものを記載しております。

FS資料室 質問用掲示板 http://tac3g.bbs.fc2.com/  

気になる質問内容を見かけたものですから、ちょっと気まぐれで掲示板なら書き込みも手軽だしって事で出張してました…

ルール運用の問題点につながる事例のような気がしたので首を突っ込んじゃいました。
コメントのやり取りに関しては、いつものような反応なのですが…

とりあえず この時 話題に上がった選手の動画をご覧下さい。。。

YouTube - Tugba Karademir 2010 Euros SP.wmv
http://www.youtube.com/watch?v=y9fdR8NRVls



Tugba Karademir 2010 Euros LP 
http://www.youtube.com/watch?v=u50j28vetUY  



ISU European Figure Skating Championships 2010
http://www.isuresults.com/results/ec2010/index.htm
  
Tugba KARADEMIR選手のSP順位は10位・FS順位は13位。
プロトコルと動画を見比べてみてください。

SPプロトコル
http://www.isuresults.com/results/ec2010/ec10_Ladies_SP_Scores.pdf

FSプロトコル 
http://www.isuresults.com/results/ec2010/ec10_Ladies_FS_Scores.pdf

この時のテクニカル・パネルが試みたジャンプとして認定したのはルッツという事実。

このユーロの放送を樋口先生が解説に入ってたそうです…

当然の事ながら、『コレはフリップのエラーですね』と仰ったそうですが
FSのプロトコルではルッツの回転不足判定のみでした。

この時のテクニカルチームは単にTSがコールを間違い、他の2名は異議を唱えなかった? って事だけなのか…
彼女の試みたターンは見事なロッカーターンをしてルッツを跳んだのだ!って、判定しちゃったのか?

たまたまDGになったので、Fの"e"と"<"の2重のマイナスは選手の不利益なのでルッツだけの"<"に納めちゃった?

なんてのは無理やりすぎますし、テクニカルチームの判定にも個人的には フリップルッツをロッカーで跳んではいけない訳ではないし一般的ではないけど、ルッツを試みたと判定したテクニカルにも理由があるような気もしてます。

テクニカル経験者の方々…
こんな認定の仕方ってアリなの?って思いませんか?

彼女のジャンプがスリーターンのあとにスネークチェンジしてるならフリップのエラーでいいと思いますが…
ある意味 見事すぎるロッカーターンだと思いませんか?

このジャンプの認定はユーロ女子シングルのテクニカルチームの人為的な2重ミス(TSの認定ミス&TC・ATSの異議無し)の可能性もある判定だと思っていますが…

あそこの掲示板に書いてあるように、プレパレーションのパターンとエッジの状態を定義せずに運用を続けていくと、このようなケースはいずれ大問題になるような気がするのです…

そもそも試みようとしたジャンプという認定には何をもってして判断材料にしているのか? って言うのを、以前から疑問に思っています。

エッジのエラーを取り締まるのなら、どちらのジャンプを跳ぼうとしたのか? の、判定が一番重要になるはず。。。

もしも・・・

浅田真央選手・安藤美姫選手やキム・ヨナ選手など注目を浴びるトップ選手が、あんな感じでフリップのエッジエラーを跳んでルッツ認定もらっちゃった日にゃあ、どんな状態になるんだべか?

想像するだけでおそろしや。。。と、言うように危惧してしまうのです。

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と、いうように書いていました。。。

一応、FS資料室 質問用掲示板 の私の書き込みも備忘録として残しておきます。

質問者は質問自体を削除するし、私のレスに対する他の方の投稿もおそらく投稿者自身が削除したと思われます。
いくつか削除された状態ですので、流れが読めないと思います。

最初は動画の存在をしらなかったので想像で答えたのですが…

樋口先生かテクニカルかどちらかが間違ってるかも知れませんって書いたのを見て、突然キレてくる人もいるわ…
どこにでも、変な人はいるもんですね。。。

真面目に考え答えたのがアホらしくなります。

※ 以降、日付が書かれている文章は掲示板に投稿したものです。

2010/01/30 (Sat) 00:28:25

当該ジャンプを見ていないのでなんとも申し上げにくいですが
樋口先生がそのようにご指摘しているのなら間違いなくフリップのWrong edgeなんでしょうね。

私自身がTVなどを見ていても、フリップやルッツを試みていると思ったジャンプが解説や競技後のプロトコルで確認すると逆の認定になってるケースが時々起こります。

両方のジャンプに!判定が出てしまうタイプの選手はプレパレーションの通常のパターンに無いアプローチを行われると混乱しそうになりますね。

時々TVに向かって、『今のはルッツ(フリップ)でしょ?』ってツッコミ入れてます。

コーラーのコールに他のテクニカルメンバーが異議を唱えないのも変に思いますが
フリップのオーソドックスなプレパレーションではスリーターンからとモホークからの2種類が代表的です。

ルッツのオーソドックスなプレパレーションには、ずーっとバックアウトで滑ってきて、そのまま踏み切る昔ならではのタイプと
最近では多くの選手が試みる反時計回り方向への回転をしクロスを入れ踏み変えた直後に跳ぶタイプが代表的です。

通称ですがフルッツやリップというのも…
フリップを試みるジャンプのプレパレーションでエッジに誤りがあればe !の判定を受けてしまいますが
ルッツを試みるジャンプのプレパレーションではエラーにはなりません。
もちろん、逆のケースも同様で、テクニカルチームの試みたジャンプの認定が正しければ前者ならエラーで後者ならセーフです。

選手自身が試みようとしているジャンプの意図とテクニカルの認定が一致していれば、あとはエッジの判定の問題だけになりますが
コーラーが認定したものと、選手が試みようとしたプレパレーションに逆の認定がつけば、見ている者も解説者も混同してしまいますね。


私だけでなく、関係者の方々にも、このルール運用上の問題点を危惧している人もいると思います。

こういった事(認定次第)でザヤックに引っかかってしまうケースも時々起こるでしょうし
ルール運用上ではいくつかのパターンのプレパレーションを試みようとするジャンプの種類に決めておく必要があると思っています。


来シーズンのルール運用の改正ポイントの議題に入る問題だと思いますね。

2010/01/31 (Sun) 00:17:08

〇〇さん

当該ジャンプは時計回り方向の→LFI~RBIのモホーク後に
左フリーレッグでクロスに入れて
LBOで踏み切り体勢になったLzなのでしょうか?

コチラのパターンならば試みたジャンプはルッツになります。
ですが、引っ張り込むようにしてLBIにチェンジして踏み切ればルッツのエラーです。

逆に反時計回り方向のモホーク→RFI~LBIのまま踏み切ればフリップですが…
構えの姿勢に入る時にカウンターが入ってしまいLBIがLBOにチェンジして踏み切ればフリップのエラーです。

当該ジャンプのプレパレーション如何ではテクニカルチームの人為的ミスかも知れませんし
樋口先生が見間違えてたのかも知れません。

※ このあと動画の紹介を受け、初めて映像を確認する。

2010/01/31 (Sun) 04:37:57

〇〇さん

動画のご紹介ありがとうございます。
確認しました所、当該ジャンプはスリーターンから入るパターンのフリップを試みていますが、完全なロングエッジでした。

スリーターンではなくロッカーターンになってます。

よって樋口先生は間違っていませんね。
あれは、見間違えてしまうようなレベルじゃないです。

ということは、コールしたTSのみならずTC及びATSもコールに対して異議を唱えなかったという、2重の明らかなミスを犯している可能性があります。

樋口先生もテクニカルチームも両者専門家ですから本来なら、ジャンプの見分けで片方が間違いを犯すなんて考えられないのですが。。。(驚)
さらにテクニカルチームは3名の眼で見てるのに。。。

ですが、もし…選手がスリーターンではなく、敢えて難しいロッカーターンからのルッツを意図して試みたという主張(テクニカルもそう判断した)という可能性もあるので
この選手のジャンプは、昔からの両方のジャンプを確認しなければなりません。

ユーロなどの大舞台でのミスジャッジ?は大問題でしょう…
メダル争いをした選手なら各国巻き込んだ大騒ぎになるかもしれません。

オーソドックスなフリップの入り方をして、ロングエッジになるタイプの他の選手にも同様な判定を犯している可能性がありますよね。

ISU European Figure Skating Championships 2010
http://www.isuresults.com/results/ec2010/index.htm

仮にジャッジパネルのGoE判定にミスがあっても、上下カットでカウントされなかったり、もし含まれたとしても平均化されるので影響は微々たるものですが

テクニカルの認定ミスやDG判定・ロングエッジ判定などに誤りがあれば競技結果への影響は大きい。

だからこそ、テクニカル資格はナショナルクラスを経験した選ばれし人々ですし
もし間違いがあっても、訂正が出来る様に判定などに見解の相違がある場合は3名の多数決になります。

今回のケースはTSのコールミスだけでなく、監督役(TC)・補佐役(ATS)が異議を唱えなかったのか?という2重の問題です。

野次馬的なツッコミをいれるとしたら…

この選手はフリップ(プロトコル上はルッツ)だけしか試みていませんがもし両方試みていたらどうなるのか?
両方のジャンプをコンボを含めて4回試みたらどうなるのか?
なんて、ちょっとイジワルな発想がよぎります。

たださきほどの、レアケースのルッツ(スリーターンではなくロッカーターン)で試みた&認定したという可能性もありますから
解説者として見た樋口先生の見解(フリップのエラー)も正しく(コチラが普通)

テクニカルの認定(レアパターンのロッカーターンからのルッツ)も正しいのかも知れません。(かなり無理がある)

ロッカーターンでルッツを跳んだいるとしたら、見事なアウトエッジ踏み切りですし。
スリーターン後にカウンターを当てたようにチェッジしてLBI~LBOになった訳でなく、ターン直後に跳び上がってますから
『コレが私のルッツの跳び方よ』と言われてしまえば、そのように受け取る事も出来ます。

直接コーラーに見解を求めたら、上記に書いた理由でルッツだとコールしたと言うかもしれないのです。

一応、当該選手の他の競技会動画とプロトコルを確認しましたが
3Fの"e"判定が多いですよね。。。

普通に見ればフリップのエッジエラーの認識で大丈夫でしょう。

中略

※ このあと…友人のテクニカル経験者と意見交換をしました。

2010/02/04 (Thu) 01:17:38

>今回のケースはTSのコールミスだけでなく、監督役(TC)・補佐役(ATS)が異議を唱えなかったのか?という2重の問題です。
>レアケースのルッツ(スリーターンではなくロッカーターン)で試みた&認定したという可能性もありますから
>解説者として見た樋口先生の見解(フリップのエラー)も正しく(コチラが普通)
>テクニカルの認定(レアパターンのロッカーターンからのルッツ)も正しいのかも知れません。(かなり無理がある)

上記のように書いてましたので、当該トピックを読んだ方々はユーロのテクニカルチームの誤審?と取られる方もいらっしゃるかも知れません。

当該選手のジャンプはフリップの"e"もしくはルッツを試みたか明確(エッジは明確ですが)ではなかったので
3名のテクニカルチームは当該ジャンプをレビュー扱いで一旦保留して
他のジャンプ要素にフリップ&ルッツをどちらかもしくは片方をもう一度跳ぶかどうかを見て
演技終了後にレビュー判定に入ったケースと推察できます。

一般的なケースではないですが、スリーターン後にカウンターを当てたようにチェッジエッジしてしまい
LBI~LBOになって跳び上がった訳でなく、ターン直後からアウトエッジのまま跳び上がってますので
LFO~LBOのロッカーターンをしてルッツを跳んだと認定する事を誤審とは呼べないレベルです。

そして、フリップの"e"ともルッツともどちらにでも取れてしまうようなケースでしたので
『スケーターズ・フェイバー』
(ハッキリとしない場合はスケーターの利益になるように判定する)として扱った可能性が高いです。

ISUハンドブックには回転不足の項目に書かれているのですが
その他の項目でも、ハッキリとしないようなケースではスケーターが不利益を被らないように判定しています。

ISU テクニカル・パネル ハンドブック(日本語版)
http://www.skatingjapan.jp/data/fs/pdfs/comm/hb2009-single2009j.pdf

PS 利益になるようにと書いてあるので誤解を招きそうですが 選手が不明確なケースで"不利益を被らないように"という趣旨のものです。

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このような備忘録ですが…

個人的に問題と思うことは以下の部分…
果たしてユーロという世界選手権に次ぐ権威のある競技会のテクニカルを任される審判が誤審をしたのか?ですよね。

私も最初は誤審?ではないかという感じのコメントを書いてしまいました。
3名のテクニカルチームが誤審を起こすだろうか?っと考え直し調べてみたんですよね。

テクニカルチームはチェックすべきエレメンツについてレビューで映像確認した後に判定を確定するはず。

3名のチームがフリップの"e"ともレアな入り方のルッツとも受け取れるレビューを見て、今回のチームはレアな入り方をしたルッツと認定した。(と、解釈できる)

ただ他の競技会でのTugba KARADEMIR選手のジャンプはフリップの"e"と判定される事が多かった。。。

一般的に見れば、彼女のプレパレーションではフリップの入り方ですが
私の見る限り、インエッジが皆無でスリーターンをしたのではなく
ロッカーターンをしてアウトエッジから直ちに踏み切ったように見える。


当然、樋口先生も一般的に見ればフリップを試みているのだろうと思ったからこそ、あのように解説した。
TV放送中ですから、手短に説明するにはフリップのエラーだと話すのは自然です。
(時間があれば十分な説明も入れる事が可能でしょうが)

ですが、フリップはスリーターンもしくはモホークで跳ぶものとして定義されている訳ではないので
スリーターン後にLBI~LBOにチェンジエッジしてしまうケースで踏み切れば"e"判定もやむなしですが
今回のような、ロッカーターンになり、LBIにならずLBOのまま踏み切れば、例えフリップっぽいプレパレーションでもレアケースのルッツだと認定する事も可能だという事です。
モホークからの入り方のプレパレーションでも、モホークではなくチョクトーを入れLBOで踏み切ればルッツですから。


プレパレーションのパターンとエッジの状態を定義せずにルール運用を続けていくと、このようなケースはいずれ大問題になるような気がする。

そもそも試みようとしたジャンプという認定には何をもってして判断材料にしているのか? って言うのを、以前から疑問に思っています。

エッジのエラーを取り締まるのなら、どちらのジャンプを跳ぼうとしたのか? の、判定が一番重要になるはず。。。

踏み切りのエッジだけを見るのならばエラーという定義自体の存在が無くなり
フリップとルッツはひとつのジャンプになり、5種類のジャンプになるはず。


フリップとルッツを別のジャンプとしてエッジのエラーを判定するのならば、どちらのジャンプを試みようとしたのか? という、試みようとしたジャンプの認定をプレパレーションのパターンで定義せねばならないはずだという事。

もしくはプログラムコンポーネンツシートの提出を義務付けて、一部の例外(ザヤックルール回避措置など)を除いて基本的にエレメンツ予定の変更を認めないとか…

個人的にはCoP(新採点システム)には、まだまだ改善したり、進化させねばならないルールがたくさんあると思います。



※ 映像を見る前のコメントと見てからのコメント、そしてテクニカル経験者と意見交換したあとのコメントというように
私の今回のケースのルールに対する考え方にも変化があり、読みづらかったと思いますが勘弁してください。



今私は、短い時間の中で,むしろ慣例(一般的な見解)にとらわれる事無く、ルール運用の問題点も踏まえた上で
見たままの見解で試みようとしたジャンプの認定をしたテクニカルチームだったのかもしれないと思い始めています。。。

テクニカルパネルの審判は名前が公表されていますし(GoEジャッジもですが、どのGoEを付けたのかは秘匿されている)同じテクニカル経験者からも異論が噴出するかも知れない…
ISU内部でも問題視されるかも知れない。

そういった意味でも、かなり勇気のある判定を下したような気がしますし、ジャンプの定義の問題を取り上げてもらい、今後の改正に繋がるかもしれない事例になった気がします。

まぁ当のTugba KARADEMIR選手本人はフリップを跳ぼうとしてただけかもしれないんですけどね。。。
フィギュアスケートは本当に奥が深い…

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上記部分までが2月初旬に書いた内容です。
以下の部分は、バンクーバーオリンピック後の後日談として3月初旬の記載です。

Tugba Karademir選手はバンクーバーオリンピックに出場しました。
映像は画質が悪いですが、SPの演技です。

YouTube - Tugba Karademir 2010 vancouver kis olimpiyatlari
http://www.youtube.com/watch?v=ExggA2jAVgU



Ladies - Short Program : Schedule and Results : Vancouver 2010 Winter Olympics
http://www.vancouver2010.com/olympic-figure-skating/schedule-and-results/ladies-short-program_fsw010201aj.html

バンクーバーオリンピック公式ページ内のリザルトページには
プログラムコンポーネンツシートの内容も記載されています。

女子SPのプログラムコンポーネンツシートと判定要素
実施予定 Triple Lutz + Double Toeloop
 判定  Triple Flip + Double Toeloop 6.80 -2.20 4.60

女子FSのプログラムコンポーネンツシートと判定要素
実施予定 Triple Lutz + Double Toeloop
 判定  Single Flip  0.50 -0.12 0.38

Tugba Karademir選手が意図したジャンプはルッツの可能性が上がりました。
映像ではユーロの時と同様のプレパレーションでジャンプを試みています。

そして、今回の判定はフリップのエッジエラーとなりました。
この事実は、非常に興味深いものとなりましたね。

普通に見れば競技関係者はフリップのロングエッジと判断する…
ですが、選手は難しい入りのロッカーターンからのルッツを意図していた。(可能性が高い)


もしくは、Tugba Karademir選手は日頃の競技会ではフリップのエラー判定が多い訳ですが
ロッカーターンをしてルッツを試みたと判定されたらルール上は減点される事はないのですから
あらかじめプログラムコンポーネンツシートにはルッツの実施予定と書いているのかもしれません。

要素の構成予定表はありますが、テクニカルパネルは試みられた要素を見たまま判定をするのですが、ルール上に入り方の定義がないことから
一般的な入り方としてみればフリップを意図して試みたと判断する方が自然です。

ただ、選手はプログラムコンテンツシートの提出と必ずしも一致させなくても良いわけですから
提出された内容を考慮するのならば、ルッツを試みたと認定してもらえれば
フリップのロングエッジと判定されなかったとも言えます。

※ Fの"e"と判定されますと基礎点も下がりますしGoEも概ね-2されますので大きなミス扱いとなってしまいます。

ユーロのテクニカルは、レアケースのルッツかもしれない?という判定が、正しかった可能性もあると言うこと。
可能性があると書くよりも、スケーターズフェイバーを採用した可能性が上がったと考えられます

そして、今回のテクニカル・パネルがフリップのロングエッジと判定したのが
間違っていると決め付けるのも良くありません。

要はジャンプへの入り方に定義が無く、エッジが間違っているかどうかは
一般的な入り方を基準にして見ているのか、跳ぶ直前のエッジの状態を基準に見ているのか
ルール運用上の問題点があるからだと思います。
Wrong edgeの運用を明確化したのなら、ISU テクニカル・パネル ハンドブックに
フリップとルッツを試みるとはどういう事かという補足説明が入るだけで解決できる問題だと感じます。


選手が試みようとしたものをジャッジは事前に聞く事が出来ません。
また、選手が試みようとしているジャンプをジャッジに知らせる必要もありません。

ジャッジ団は試みたジャンプを見たまま客観的に判断するのが任務です。

ジャッジ団がどのような理由で判定をしたのかも我々は知る事が出来ませんが
映像とDetail(プロトコル)などを見て推察する事は可能です。

疑惑のように扱われ、それを簡単に誤審だ!と、決め付けるのは簡単です。
もし誤審でなかったら、どの様な経緯で判定されているのかを調べていけば
ある一定の結論らしきものが見えてきます。

今回のケースは競技経験者であっても見解が分かれるような部分です。
この様なケースはルール運用部分の難しい所でもあります。
そしてフィギュアスケートは非常に奥が深いって事がこの様な事例からも伺えます。

ISUで、どの様に受け止められるかは解りませんが、今後、ロングエッジ判定のあり方について
議論のテーブルにあがるかも知れない事例となったような気がしますね。

様々なエントリーでも書いていますが、より公平公正を期するために今後もルールの部分改正は続くでしょう。

Wrong Edge判定に関して先の掲示板の投稿にジャッジ経験者と推察できる方のコメントが参考になると思います。

【FS資料室 質問用掲示板】 Sakuraは私。
http://tac3g.bbs.fc2.com/?act=reply&tid=2739909 

【testさん投稿】 以下引用…

ジャッジはGOEの判定やPCSの判定をする審判ですので、正しくは「TS(テクニカルスペシャリスト)やTC(~コーラー)などの技術審判サイド」です。
ジャッジも踏み切りエッジを自分で見て自分で判断します。
TOからeや!の情報が送られてきますが、ジャッジ自身がTOと異なる判断をすることは許されていますし、TOからの情報が来る前に自分の判定を下さなくてはなりません。
TOが e や ! を付けたからと言って機械的にGOEをマイナスしているわけではないのです。

あと多くの方が誤解しているようですが、eや!が付いていないからといって必ずしもエッジが正しいと判断がされたわけではありません。
e や ! が付いていないのは、あくまでTOから見て e や ! と判断されなかったと言うだけのことです。
撮影のアングルや映像の鮮明さによっては明確な判断が下せないこともあります。
そう言うときは選手の利益になるように決定を下します。
TOから見て e でも ! でもないように見えたが1番ジャッジからは明らかに e だったということもあり得るのです。

フリップとルッツの違いは本来は入りと踏み切りの際の体の回転方向と思います。
ジャンプの回転と同じ向きに回転しながら踏み切りに入りそのままジャンプするのがフリップ、緩やかに反対向きに回転しながら踏み切りで一気に反転(カウンター)して跳ぶのがルッツです。
その結果必然としてフリップはインエッジで、ルッツはアウトエッジで跳ぶのが正しいとされてきました。


★Figure Skating Guideline★ エントリー 一覧
http://openaxel.blog14.fc2.com/blog-entry-109.html

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この記事へのコメント

はじめまして - Maurice - 2013年03月18日 21:09:28[ 再編集・削除 ]

初めまして。
Mauriceと申します。
少し前からTwitterを拝見させて頂いておりました。
ジュベールのフリップとルッツの判定についてとても気になるツイートがあり、そのツイートのリンクからこちらの記事に辿りつきました。
sakuraさんはスケート経験者なのですね。
こちらの記事も先程一気に読みました。
とても興味深い内容でした。
Jスポで「スケーターに有利になるように云々~」というルールの解説は聞いていたのですが「フェイバー」という言葉は初めて耳にしました。
今回その件があらゆる面で乱用されているようですね。
Twitterのアカウントは持っていないので今日はこちらのブログに勇気を出して初コメです。

事前に申請していた種類と実際に実行したものが違う場合、或いはミスジャッジかもしれない場合について、実はトマシュのジャンプでも私は同様のことを考えたことがあったのです。
自身の記事で私の見解を綴ったことがあるのですがそれで正しいかどうか教えて頂けますでしょうか?
こちらの記事を読んで似たようなケースではないかと思ったので・・・
トマシュについては「フェイバー」とは関係なく単純にジャンプの入りについてです。
ワールドは地上波では未放送だったので後日のJスポで見る予定です。

この記事のトマシュについてです。

http://billystevie.blog60.fc2.com/blog-entry-552.html

初コメで長々としかも厚かましい質問をして申し訳ありません。
もしよろしければお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。

Twitter、ブログとも楽しく読ませて頂きます。
今後ともよろしくお願い致します!

Re: はじめまして - Skater_Sakura - 2013年03月19日 00:16:50[ 再編集・削除 ]

v-22Mauriceさん

> 初めまして。
> Mauriceと申します。
> 少し前からTwitterを拝見させて頂いておりました。


ご訪問&コメントありがとうございます。

> ジュベールのフリップとルッツの判定についてとても気になるツイートがあり、そのツイートのリンクからこちらの記事に辿りつきました。
> sakuraさんはスケート経験者なのですね。
> こちらの記事も先程一気に読みました。
> とても興味深い内容でした。


興味をお持ち頂きありがとうございます。 はい、一応、ペーペーの選手でした。

> 事前に申請していた種類と実際に実行したものが違う場合、或いはミスジャッジかもしれない場合について、実はトマシュのジャンプでも私は同様のことを考えたことがあったのです。
> 自身の記事で私の見解を綴ったことがあるのですがそれで正しいかどうか教えて頂けますでしょうか?
> こちらの記事を読んで似たようなケースではないかと思ったので・・・
> トマシュについては「フェイバー」とは関係なく単純にジャンプの入りについてです。


> この記事のトマシュについてです。
> ↓

> http://billystevie.blog60.fc2.com/blog-entry-552.html

記事を拝見させて頂きました。
残念ながら、スケートアメリカのトマシュ・ベルネル選手のFS映像はブロックされて観れなかったので
他のコンペ映像を確認してきました。

Tomas Verner 2012 Nebelhorn FS
http://youtu.be/JtGiRaZDKdg
http://youtu.be/l6HToFTR790

スロー再生がありませんが…4Tの後の要素はチョクトー直後に3Lz+3Tを試みていると思います。
モホークの入り直後にアウトエッジに乗った3F(e)判定とする可能性も排除できませんが…。

そこでプロトコルの登場です。

ネーベルホルン杯 男子FS プロトコル
http://deu-event.de/results/Nebelhorn_2012/NT2012_Men_FS_Scores.pdf

映像では3Lz+3Tと同じ入りで3Lzも跳んでいます。 そして、ほぼ同じように見える3FがWrong Edge判定。
もし、この3Fを3Lzと判定してしまえば要素BOXそのものがキックアウトになります。

アウトエッジで踏み切ったのかインエッジで踏み切ったのが定かでない…という形で
3Lzを3度試みたと、判断すれば、著しく選手の不利益になる。
そこで、スケーターズフェイバーを採用し、3F(e)判定とする事でキックアウトを防いだ。

という感じで、私はルール運用面でのスケーターズフェイバーとして理解しています。

以前に、MauriceさんのBlog 【Collection】をTwitterで紹介した事もあり、時々訪問させて頂いています。
またいつでも、Blogへお越しくださいね。

ありがとうございます - Maurice - 2013年03月19日 08:48:52[ 再編集・削除 ]

早々の回答ありがとうございます。
映像確認のお時間や詳細な解説にお時間を割いて頂き申し訳ない気持ちです。
でもそれ以上にとても嬉しかったです。

スケアメでの佐野さんの解説でトマシュの3Lzについてのモホーク発言があり、そういった経緯で各選手の跳び方に注目していました。
ご紹介のネーベルホルン杯の映像も拝見しました。
スケアメではフラットでモホークに見間違えそうですがやはりエッジやトレースを見てチョクトウだと思いました。
3Lzの入りについて意識が向いていましたが3Fのeにも関わってくるこちらのトマシュの件もスケーターズフェイバーが運用されたのだと理解が深まりました。

ブログの件もありがとうございます。
実は「ペアのTw特集がTwitterで紹介されているよ」と友人に教えて頂きそれがきっかけで見るようになったのです。
今回勇気を出してコメントを入れて良かったです。
お礼を言いそびれてしまって申し訳ありませんでした。
Twitter・ブログ記事をこれからも楽しみにしております。
よろしくお願い致します!

解説者でも… - Skater_Sakura - 2013年03月20日 00:06:49[ 再編集・削除 ]

v-22Mauriceさん

> 早々の回答ありがとうございます。
> 映像確認のお時間や詳細な解説にお時間を割いて頂き申し訳ない気持ちです。
> でもそれ以上にとても嬉しかったです。


いえいえこちらこそ…過疎った記事でしたので、注目された事が嬉しかったです。

> スケアメでの佐野さんの解説でトマシュの3Lzについてのモホーク発言があり、そういった経緯で各選手の跳び方に注目していました。

解説者も、パッと見て解説するならフリップと言及します。(決して間違いではないので)

ただ、テクニカル審判は、フリップのエラーなのか?ルッツなのか?をレビューしてから最終決定する事があるので
解説者と違う判断になる事があるんです。

> ご紹介のネーベルホルン杯の映像も拝見しました。
> スケアメではフラットでモホークに見間違えそうですがやはりエッジやトレースを見てチョクトウだと思いました。
> 3Lzの入りについて意識が向いていましたが3Fのeにも関わってくるこちらのトマシュの件もスケーターズフェイバーが運用されたのだと理解が深まりました。


スケアメのFSは日本からのPCだと見られないようなフィルターがかかっているみたいです。
SPは見ることが出来たのですが。

映像を見る限り、本人の意図は兎も角、チョクトーになってますよね。
スケーターズフェイバー事例なのかどうかは、プロトコルでは記載されませんが
個人的には、この認識の方が、すっきりすると思います。

> ブログの件もありがとうございます。
> 実は「ペアのTw特集がTwitterで紹介されているよ」と友人に教えて頂きそれがきっかけで見るようになったのです。
> 今回勇気を出してコメントを入れて良かったです。


技術観察眼の優れたBlog記事でしたので、紹介させていただきました。
拙Blogのリンクにも加えさせて頂きました。
今後ともよろしくお願い致します。

映像は…視聴地域制限 - Skater_Sakura - 2013年03月20日 00:09:46[ 再編集・削除 ]

v-22Mauriceさん

いえいえ…映像は視聴地域の制限で見ることが出来なかっただけですのでご心配なく。

ベルネル選手のルッツ/フリップ評価比較動画 - ghoti - 2013年03月20日 02:54:49[ 再編集・削除 ]

Mauriceさん、はじめまして、トマシュ情報ありがとうございますm(._.)m
sakuraさん、解説ありがとうございますm(._.)m
ベルネル選手のルッツ/フリップ評価比較動画(Nebelhorn/TEB/WC)を作りましたので貼っておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=fGZfy-jkWhQ

sakuraさんへ
Nebelhorn/TEBは、スケーターズフェイバーで納得できたのですが、WCの全てF(e)判定は理解できません。解説お願いますm(._.)m

プロトコル
http://deu-event.de/results/Nebelhorn_2012/NT2012_Men_FS_Scores.pdf
http://www.isuresults.com/results/gpfra2012/gpfra2012_Men_FS_Scores.pdf
http://www.isuresults.com/results/wc2013/wc2013_Men_FS_Scores.pdf

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